最近ハルヒの様子がおかしい。
いや、こいつがおかしいのはとうの昔から知っている。
でも最近はそういうわけではなく・・・なんていうか・・・こう、何かに行き詰っているような。
簡単に言えば推理ゲームでわからないとかだな。
そんな感じで時間だけが過ぎていく。
「あれ?今日はキョンだけなの?」
そう驚いたように俺に問いかける。
俺は何もなかったかのように右から左へと聞き流し、さも聞いていたかのように
「あぁ、今日は俺だけだが?」
そう相槌をうっておく。
「そっ」
そういうと団長席に座ったハルヒはなにやらカタカタとキーボードを打ち始めた。
ハルヒが驚いたのは連続して朝比奈さん、長門、古泉がいないからだ。
最近朝比奈さんは見かけない。
長門はちらちらと見掛けはするが部室には来ず、古泉は・・こいつはどうでもいい。
とにかくハルヒもお怒りであろう。団員が無断欠席なんてな。俺がそんなことやったら即死刑だろう。
そんなことを考えながら、昨日買ってきた雑誌をパラリ、パラリとめくってゆく。ただ時間だけが過ぎてゆく。
「キョン」
なんだ?
またいらんことでも思いついたか?どうせまた俺が雑用だろ。
「好きって言葉の意味がわかる?」
…はぁ?
馬鹿な事ばっかりやっててとうとうハルヒ自身も馬鹿になったか。
「あのなぁ、好きって言うのは…」
「そうじゃなくって!あんたいろいろ鈍感だから好きって意味がわかるかきいたのよ」
・・・そうか・・
悪い夢でも見ているのだろう。そこの君、俺の頬を引っ張ってみてくれ。
恋愛感情は精神病の一種とか言ってたやつだぜ?
そんな願いも通じずハルヒに頬をつねられている。
いたいって、結構痛いんだよ。
いつの間にか向かい合う形で座っていた俺は何をしていいかさっぱり・・・だれでもいい!メールだ、こういう状態を打開するような情報をくれ!
「・・・キス」
キスか、よしわかった。・・・ん〜、ってできるわけねーだろ!
・・・?
お前今なんていった?
「べっつに〜、聞こえてないならいいわよっ」
「いや、聞こえてたんだがな、本当に言ったのか確認し―」
「すっするの!?しないの!?」
状況を話すとしようか・・・
「あたしと・・・キス・・・キョンが・・・でも、いや、ホントに・・ひぁぁぁ・・・」
こいつはわからん。ただ今の状況だと誰から見てもかわいいとしか言いようがないな。
目が据わって顔を紅潮させ、口を少し開き、ぶつぶついいながら体を預けている。
俺もかなり気恥ずかしい。なんていうか・・・
一応部室であって、誰かが入ってくる可能性もある。
だからというわけでもないが・・あぁ!考えがまとまらん!
「ハルヒ、大丈夫か?顔真っ赤だぞ」
「そ、そんなわけないでしょ、あんたの目にケチャップか何かついてるのよ」
んなわけあるか。
「キョン」
「な、なんだ?」
「手、広げて」
「ん、こうか?」
「絶対動いちゃダメだからね」
そういうとストンと俺のひざに跨り、ゆっくりと抱きついてきた」
「いくら馬鹿でもあたしがしてほしいことくらいわかるわよね」
そういってゆっくりと俺の胸に顔をうずめる。もうわけわからん。いったれ!
《ビクッ》
「・・・」
一瞬震えたがそのままゆっくりと体を預けてきた。
俺もいっそう力を強める。
「あたしも病気ね、こんな男好きになっちゃって」
こんな男とは失礼な
「そうね、なんでだろ。男となんかいっぱい付き合ってきて、っく、ぅ・・でもキョンは違って・・・『好き』の二文字もいえなくて・・」
「わかったから、もうしゃべらなくていいから」
そのあとハルヒは声を押し殺して泣いた。
「だいぶ落ち着いてきたわ・・」
「そうか、ならよかった」
「あんたの答え聞いてないけど」
「もういわなくていいんじゃねーか?」
「あんたの口から聞きたいの!」
「そうかそうか・・」
そのまま耳元に近づけ俺はベターな一言をささやいた。
「大好きだぜ」
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