カッ・・・1・・2・・
ドォォン!
結構近いな
そう、季節は梅雨。
日本の本州独特の気候で梅雨前線・・つまり湿気の多い前線が本州上空で停滞してしまって雨を降らすんだとよ。
詳しく知りたいやつは国木田に聞きな。あいにく俺は文科系なんでね
「お〜いハルヒ。わかってると思うが雷は地震とはまったく別だぞ」
「昔から地震雷火事親父っていうでしょ!」
ピカッ・・ドォン!ゴロゴロ
「ヒャァァ!」
やれやれ。
外は土砂降り、打ち付ける雨が耳に響くな。外に出たら危険間違いなし。
その上ボロアパートだからいつ雨で崩れるかもわからん。
まぁ、これまで倒れなかったんだから大丈夫だろう・・・
しかしハルヒ。別に雷は家の中まで振ってくるものじゃない。だからたんすの陰に隠れてヘソなんか隠しても意味はないぞ?
「い、いいのよ!あたしは毎年これで過ごし・・」
ドォン!
「キャァ!」
雷が怖いならさっさと寝ればいいだろう。俺は風呂に入ってくるぞ
「だ、だめよ!今日はお風呂なし!明日の朝入りましょ?」
「お前は女の子だろう。毎日風呂入んなきゃ嫌われるぞ?」
「キョン以外になら嫌われたってかまわないもん」
「そうですか。んじゃ俺バスタオルぬらして体でも拭いとくわ」
「あとでよろしくね」
「あほか」
ぁ〜・・疲れる。
ハルヒはさりげなく苦手なものが多いようだ。
肝試しなどは雰囲気を楽しむのではなく、それを怖がっているやつを楽しむ。ハルヒの中ではそうなっているんだろうが、お化け屋敷は当事者になるわけで・・・まぁお子供だましのお化け屋敷でもしがみついて泣いてたもんな
さてと、さっさと体でも拭いて寝よう。そろそろ日が変わるしな。
「あたしもお願いね」
「あほか」
「むぅ〜キョンには言葉に棘がありすぎるのよ。もっとこう・・・」
ドォン!
「今回は結構近いな。おちるかもしれねぇぞ」
「だめダメだめダメだめ!絶対ダメ!落ちてきたら死ぬ気あたしを守りなさいよ!」
「死ぬ気出じゃなくて死んでしまうわ!」
「それもダメ!わかったわ!あたし今日は寝ないから」
「お肌に毒だぞ」
「いいわよ別に」
「いいから寝ろ」
「い・や・よ♪」
しかたねぇなぁ・・・
そうつぶやいて頭をなでてやる。
普段から人付き合いも悪く、親にもほとんどされたことがない体でのコミュニケーション。こういうのにハルヒは弱いのだ。
「ふぁ・・ぁ、ぁ・・や、やめ・・ないで」
「寝るか?」
「寝るからやめないでよ」
「はいはい」
ピカッ!ゴロゴロ、となり続ける雷もそっちのけでハルヒはうっとりした顔になり抱きついてくる。
はいはい、と子供をあやすような感覚でハルヒを片方の腕で抱き寄せ、頭をなでてやる。
「ん・・やっぱり落ち着くわ・・・コレ」
「雷はもういいのか?」
「もういいわ、別にキョンがいれば安心だしね。ずっとそばにいてよ?」
「こんなにちかくにいるじゃねえか。信用されてないな、俺ってさ」
「何いってんのよ」
そういって唇が重なる。
「これでも信用されてないとでも言いたいの?」
「すまなかった、さぁ、寝るか」
「そうね。あ、手はこのままだからね」
まぁ明日には晴れているだろう。
こんな平凡で、心が豊かな生活をいつまで続けれるんだろうね。
「いつまでもよ!」
「さっさと寝ろ!」
やれやれ・・
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